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平成30年度 淡路市長施政方針

印刷用ページを表示する掲載日:2018年3月1日更新
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【はじめに】

 第71回淡路市議会の開会に当たり、御挨拶を申し上げます。本日、定例会を招集いたしましたところ、議員各位には、定刻に御参集をいただき、ここに開会の運びになりましたことを、衷心より厚くお礼申し上げます。

 平成30年度の市政運営に当たり、基本的な考え方や主要施策については、施政方針において、詳細に述べさせていただきますが、引き続き、市民サービスの更なる向上に努め、住んで良かった、帰ってきて良かった、訪れて良かったと思える「いつかきっと帰りたくなる街づくり」を力強く推進していく所存であります。

 議員各位におかれましても、今後の市政運営に格別の御指導、御鞭撻を賜りますよう、お願いを申し上げ、開会に当たりましてのごあいさつとさせていただきます。

 それでは、新年度予算案及び関連諸議案の提案に際し、市政運営への所信を明らかにし、議員各位、市民の皆さまへのご理解とご賛同を賜りたいと思います。

 さて、淡路市は、平成17年の市制発足から13年の歳月が流れようとしています。市行政は、市民にとって最も身近な行政機関であり、常に市民サービスの維持・向上に努めていかなければなりません。

 市政発足時から厳しい財政状況でスタートしましたが、安定的な行政サービス提供のため、行財政改革の推進に努めてきたところであります。

 そうした中、昨年を振り返ってみますと、色々なことがありましたが、私たちは、「チーム淡路市」として対応をしてまいりました。

 女子プロ野球兵庫ディオーネは、さらなる活躍を祈念して新天地に飛翔をされました。佐野運動公園に屋外練習場とナイター設備が今年完成をします。彼女たちがあってこその事業の推進でありました。平成30年度も佐野運動公園で女子プロ野球の開催が予定されておりますので、市民の皆さんの温かい応援をお願いしたいと思います。

 市民の皆さんの交通手段として愛されている「あわ神・あわ姫バス」等の市コミニティバスは、市内の循環はもとより、さらなる南進と北進を視野に入れています。また、ICカード1枚で淡路島から東京まで行くことができるようになりました。

 今年が、島全体が飛翔する礎(いしずえ)を築く年というふうに私たちは理解をしたいと思います。定住自立圏を結んでいます洲本市におかれましても淡路島一市の環境づくりを目指すといわれています。

 「これからの淡路市が目指すもの」を総括しますと、大阪湾活性化プロジェクトと言っていいと思います。淡路島の北の玄関口JR舞子駅に新快速を止める運動、紀淡連絡道路と四国新幹線構想、海路の復活、泉佐野市提案の泉佐野・津名港復活プロジェクト、自転車道路拡張整備などは、大阪が提唱していますカジノ構想と合わせ、関西の起爆剤になると思っています。

 長きに渡って淡路青年会議所が掲げてきました理念、淡路島一市運動は、時代の流れの中で未だ日の目を見ていません。昨年、淡路島は1つと常に提唱されていた淡路信用金庫前理事長瀧川さんは、鬼籍に入られました。本当に残念なことではありますが、こういった先人たちの思いを無駄にすることなく、さらなる飛躍を目指さなければなりません。

 

 淡路市の基本姿勢は、3つあります。

  1つ目は、集約のメリットを生かして質の向上を目指す。

  2つ目は、地域の融合融和を図り一体感の醸成を目指す。

  最後の3つ目は、継続的財政運営と市政一般の適正化を目指す。

 であります。

この3点に目安がついた時が、淡路市が成熟した市として存立する礎を築くことができたということになります。

 そのために淡路市は、4年刻みのスケジュールを刻んできました。

 平成17年からは明石海峡大橋の無料化を、島内を先駆けて提唱し、マニフェストとしましては5町の集約を図ってきたわけであります。5町の融和、赤字の回避、バランスに配慮した整備等を重点に推進してまいりました。

 平成21年度からは、世界的観光立島淡路市を標榜し、身の丈にあった市政運営を継続してきました。中身につきましては、戦略の展開であり、企業誘致の展開、観光政策の推進、行財政改革の断行といったことでした。

 平成25年度からは、淡路島を世界遺産化へというスローガンを掲げ、マニフェストとして「いつかきっと帰りたくなる街づくり」につなげてきました。中身は、教育の充実、企業誘致、観光事業推進と安全安心対策でありました。

 そして、いよいよ今であります。平成29年度からまさに未来へとつながっていくことになります。淡路市のイメージを集約して申し上げますと、

 津名地区においては、都市機能集積ゾーン。

 一宮地区は、産業振興ゾーンであります。一宮地区はもともと文化ゾーンのイメージでありましたが、航空機産業、医療機器などの漸進により、イメージコンセプトの変更をしています。

 北淡地区は、逆に文化遺産ゾーンとなっています。当然、震災記念公園であり、五斗長垣内と舟木の遺跡群であります。

 岩屋地区ですが、ネーミングについては淡路島の玄関ゾーンとして変わっていません。いよいよ岩屋港、田ノ代海岸、鵜崎の埋立地などの未利用地が動き出します。

 東浦地区は、もうすでに先頭を切って動いていますが、ニュータウンゾーンであります。そして、淡路島の中では津名が交通結節点の位置づけでありますが、淡路市としては東浦も交通結節点として役割を果たすものになっています。

 いわゆる5地域バラバラの課題を、視点を変えて資産として生かす、点と点を結んで面的に捉えることで、「田園都市」からさらに発展した「田園文化学園都市」を目指すというのが今の淡路市の方向性であります。

 

【経済情勢・財政状況】

 内閣府では「景気は、緩やかな回復基調が続いている。」とされています。

 一方で、景気の先行きについては、「雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待されていますが、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。」とされており、今後も景気の動向については予断を許さない状況にあります。 

 このような経済状況の中、国は少子高齢化といった構造的課題を克服し、1億総活躍社会の実現に向けた取組を進めていくため、「経済財政運営と改革の基本方針2017」いわゆる「骨太の方針」を閣議決定されました。この骨太の方針では、「600兆円経済の実現」、「希望出生率1.8の実現」、「介護離職者ゼロの実現」の「新・三本の矢」を引き続き一体的に推進し、「成長と配分の好循環」を実現し、地方においても、好循環を隅々まで実感できるように取り組むとされています。

 平成30年度の国の予算は、平成27年度の骨太の方針で示された「経済・財政再生計画」における集中改革期間の最終年度であり、手を緩めることなく本格的な歳出改革に取り組むとともに、政策の優先順位を洗い直し、無駄を徹底して排除しつつ、予算の中身を大胆に重点化することとされており、本市におきましても国の政策の動向をしっかり注視し、的確に対応していく必要があります。

 また、平成30年度の「地方財政計画」におきましては、地方が子ども・子育て支援や地方創生、公共施設等の適正管理等に取り組みつつ、交付団体をはじめ地方が安定的な財政運営を行うために必要となる一般財源総額について、平成29年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保することを基本とし、平成30年度の一般財源総額につきまして、前年度を356億円上回る62兆1千億円程度を確保することとされています。

 

 さて、淡路市の財政状況ですが、新市発足時は、阪神・淡路大震災からの復興事業、台風による復旧事業などにより、危機的財政状況になっており、さらに、平成19年には、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」が施行され、健全化判断比率の一つである「将来負担比率」において、基準の350%を上回る370%となり、このままでは、自己決定権の無い早期健全化団体に陥ることから、旧5町の融和、安全・安心対策等への取組を最優先課題として、市民とともに痛みを分かち合い、行政コストを削減しながらサービスの維持向上を図り、限られた財源で大きな効果を生み出していくため、徹底した行財政改革にも取り組んでまいりました。その結果、財政運営では平成28年度決算における健全化判断比率が実質公債費比率16.7%、将来負担比率200.1%と着実に改善を図ってまいりました。これまで地方債の発行については許可が必要でありましたが、実質公債費比率が18%を下回ったことから、同意による発行が可能となり、許可団体から脱却することができました。しかし、毎年少しずつ改善しておりますが、兵庫県内及び全国で比較しますと、依然として高い比率となっています。

 具体的に申し上げます。実質公債費比率は、県内では、41団体中39位、全国では、1,741団体中1,719位、将来負担比率は、県内では、41団体中40位、全国では、1,741団体中1,734位となっています。

 また、淡路市の歳入総額の約40%を占める地方交付税では、合併の特例措置として加算されている「合併算定替経費」が、平成30年度は5割縮減されることとなります。前年度と比較して約2億円の減収を見込んでおり、普通交付税の減収は健全化判断比率にも影響が及び、上振れが予測されることから、引き続き地方債の繰上償還や普通交付税による有利な措置のある地方債の発行を検討し、指標の改善に努めてまいります。

 

【重点項目】

 平成30年度の重点項目は、「特色ある教育の充実」、「企業誘致の積極的な推進」、「総合的観光施策の充実」を3本柱とし、「少子対策」、「市民の安全安心対策」をプラスし、「第2次淡路市総合計画・前期基本計画」を踏まえた施策を展開します。

 

【特色のある教育】

 まず、一つ目の「特色のある教育の充実」です。

 教育課題が多様化する中、効率的に教育行政を推進していくためには、県・市教育委員会と市長部局の役割分担と共通認識のもと、連携と協力を一層進めることが必要です。知識・理解や技能といった見える学力の定着と学習意欲や態度といった学習を支える力や考える力、表現する力、活用する力など児童生徒の創造性と個性を伸ばすためには、確かな学力、豊かな心、健やかな体の調和の取れた育ちが重要であります。

 そのため、教育現場では、児童・生徒の基礎的・基本的な知識と技能、思考力・判断力・表現力を伸ばし、児童・生徒が主体的に学習に取り組む教育を推進します。

 環境整備では、多様な教育活動が展開できるよう、学校施設・設備の整備に取り組むとともに、施設の改修・老朽施設の改修を進めます。

 また、教育センター及び青少年センターと学校との連携を進めながら、児童・生徒や保護者のニーズに対応するため、教育相談体制の充実を図り、いじめや不登校、児童虐待等の未然防止や早期発見、対応に努め、解決に向けた相談・指導体制の充実を図ります。

 「タブレット活用教育推進事業」、義務教育9年を見据えた教育を実施する「あゆみプロジェクト」、外国語教育の充実と異国語、異文化に触れることによる「国際理解教育」など、教育委員会との連携を強化し、一丸となって特色ある教育に取り組みます。

 さらに、淡路市民の歌を小学校から斉唱することで、淡路市の一体感の醸成を推進します。

 

【企業誘致】

 次に、二つ目の「企業誘致」です。

 淡路市内の4箇所のインターチェンジ(淡路IC、東浦IC、北淡IC,津名一宮IC)からは、大阪・神戸へも短時間でアクセスできることから、自然豊かな環境と阪神間に隣接した地域的優位性により、新しいライフスタイルの実現が可能となっています。このような本市の優れた環境は、持続可能な会社づくり、優秀な人材の育成といった観点からも非常に高いポテンシャルを秘めています。

 これまでの地道な誘致活動により、市外から進出した企業は、21社に及びます。

 特に、花博跡地は、ホテル、国際会議場、植物園、国営公園など一体的に整備されています。市が誘致した聖隷淡路病院、プライミクス、オリエンタル製靴、イレブンインターナショナルなどの企業はすでに稼働中です。更なる企業誘致で「淡路夢舞台サスティナブル・パーク」を、一生涯を通して定住できる職住一体のコンパクトシティとして完成させ、新たな街づくりモデルの実現を目指します。

 これからも数多くの企業が進出することで、就業の機会の場を増やし、若者の定着を図るなど人口の増加へとつながり、更に地域経済の活性化を期待するところであります。今後とも、各企業への訪問に加え、企業立地フェア等への出展によるピーアール活動や誘致活動を積極的に行ってまいります。また、企業立地を支援する奨励制度や各種行政手続きの協議が必要な案件などは、市が兵庫県企業庁や兵庫県産業労働部と連携し、ワンストップサービスによりサポート体制の充実を図ります。

 

【総合的観光施策】

 次に、三つ目は、「観光施策」の推進です。

 “『古事記』の冒頭を飾る「国生みの島・淡路」~古代国家を支えた海人(あま)の営み~”をタイトルとするストーリーが日本遺産として認定されました。31の構成文化財のうち淡路市には伊弉諾神宮など11の文化財があり、「食べる」、「遊ぶ」に加え、「学ぶ」、「感じる」の視点で新しい観光、「日本遺産・淡路島」を地域創生と位置付け、魅力ある誘致対策を進めることで滞在型観光に結び付け、交流人口の増加を図ります。

 また、農業農村の所得や雇用の増大、地域活力の向上を図るため、6次産業化への取組を進め、ネットワークを構築して取り組む新商品開発、販路開拓や加工販売施設整備を推進し、新たな地域ブランド化による観光振興に取り組みます。

 更に、連携大学の学生に、自然や文化など様々な地域資源や観光スポットを調査、発掘、活用してもらい、SNS(インスタグラム・フェイスブックなど)により魅力ある情報を発信してもらう観光ピーアールを展開します。

 その他、外国人観光客に着目した観光パンフレットの配布や無料Wi-Fi環境の周知を進めることで、観光案内の充実を図り、国内外の観光客が訪れやすい環境づくりに努めるとともに、多種多様な情報手段を活用し、淡路市の魅力発信に取り組みます。

 

【少子対策】

 次に、四つ目は、「少子対策」の推進です。

 子どもや子育て家庭を取り巻く状況は、急速な少子高齢化や核家族化の進行、就労環境の変化など社会経済情勢を背景に大きく変化しています。淡路市で誰もが安心して子どもを産み育てたいと感じる幼児期の教育・保育を提供できるよう、保育所、認定こども園、放課後児童対策について質・量の面で充実を図ります。

 特に、夢舞台で完成した認定こども園において、6か月から小学校6年生までの児童を対象に、病気回復期の児童を家庭で保育ができないとき、看護師等がいる専用施設内で一時的に預かり、保護者の子育てと就労の両立を支援する事業を実施します。

 また、就労などの理由で保護者が昼間家庭にいない小学生の児童を対象に学童保育を実施していますが、平成30年度からは全ての施設において対象を6年生までに拡充し、放課後や学校休業中に安心して生活する場所の提供と心身の健全な育成を図ります。

 

【安全安心】

 次に、五つ目は、「安全安心対策」です。

 南海トラフ地震をはじめとする大規模な自然災害などの発生に対応し、市民が安心して暮らせる災害に強いまちづくりを進めるため、地域・関係機関・市が一体となった防災体制の充実に努めます。特に、災害の発生前や発生時の情報伝達手段として有効な防災行政無線設備について、老朽化や不感地区の解消を図るため、新たにデジタル防災行政無線設備の整備に取り組みます。

 また、市内には13,299箇所のため池がありますが、大雨による決壊等の災害を未然に防ぐため、ため池管理者に対し、防災意識の高揚を図るとともに、老朽ため池の調査を行い、計画的に改修を推進します。

 また、昨年10月、暴力団追放兵庫県民センターが、淡路市にある神戸山口組の本部事務所の使用差し止めを求める仮処分を神戸地方裁判所に申し立て、認められました。このことにより、本部事務所としての使用はできなくなりましたが、建物は存在し、関係者の出入りが依然として懸念されていることから、引き続き、暴力団解散運動の推進と市民意識の高揚を図ります。

 

 それでは、平成30年度の主要施策について、第2次淡路市総合計画・前期基本計画に沿って述べます。

 

【第2次淡路市総合計画・前期基本計画】

【1共に築く次世代につなぐまち(共生・協働・行政経営)】

 まず、「共に築く次世代につなぐまち」に向けた主要施策です。

 市民生活の安定のため、市民の不安や悩みを軽減・解消するための第一歩の施策として、各種相談事業を実施するとともに、市民が適切な消費行動をとることができるよう消費者保護の充実を目指します。また、すぐやる窓口では、市民の要望等を集約し、確実に回答することで市政に対するより以上の信頼性を高めます。

 住民参画では、中間支援機能を持つ淡路市市民協働センターを中心に、関係機関等と連携しながら、地域課題の解決や地域の活性化について、自主的、自発的に取り組む市民や団体を支援します。また、市民と行政の協働で活気のあるまちづくりが展開されるよう、町内会、市民活動団体やボランティア団体などの組織内、組織間の連携強化を図り、相互理解が深まるように支援します。

 国際交流では、国際的に広い視野を持つ人づくりを目指し、姉妹都市、友好都市等と積極的な交流を推進するとともに、市民の草の根レベルでの国際交流が円滑にできるように支援します。また、平成30年度は、兵庫県と友好提携都市であるブラジル・パラナ州への移民が110周年となることから、兵庫県と県内でパラナ州内の市と連携のある4市、淡路市、姫路市、西宮市、加古川市が、式典への派遣と関係団体のピーアールのためブースの出展を行います。

 情報公開では、まちづくりを進める上で、市政への市民参画は必須条件であることから、引き続き、公文書公開制度の適正な運用と、積極的な情報提供に努めてまいります。また、個人情報を適正に管理するとともに、個人情報保護条例に基づき、より一層、制度の適正な運用を図ります。

 市政の情報発信では、リニューアルされた市ホームページ及び広報紙や多様な情報媒体を活用しつつ、市内外に向け、市の特色ある制度や市民生活に密着した情報を、より分かりやすく、親しみやすい広報活動を推進します。

 行政改革では、身の丈に合った持続可能な市政推進のため、「淡路市行政改革大綱」及び「淡路市行財政改革推進方策」等に基づき、限られた行政資産を最大限活用し、行政サービスの維持・向上に努めてまいりました。大綱、推進方策のいずれもが、計画期間が平成30年度までとなっていますので、計画の検証と見直しにより、計画期間を延長し、今後も限られた財源を効率的かつ効果的に活用することで、更なる健全な財政運営に取り組みます。特に、公共施設においては、「公共施設等総合管理計画」による総合的かつ計画的な管理を推進するため、個別の公共施設等において提供しているサービスの必要性や公共施設等を維持しなければサービスの提供が不可能なものであるのかなど、行政サービスの水準の検討と合わせて、施設の更新・統廃合・長寿命化など個別施設計画の策定に取り組みます。

 

【2安全・安心で快適に暮らせるまち(定住環境)】

 次に、「安全・安心で快適に暮らせるまち」に向けた主要施策です。

 阪神・淡路大震災の経験と教訓、東日本大震災で明らかとなった地震・津波対策のあり方を踏まえ、今後発生が予測されている南海トラフ地震を見据えた対策を推進するとともに、市民の防災意識の高揚や交通安全対策など日常生活における安全性の確保を進めます。

 定住促進では、阪神間に近い地理的要素と自然豊かで魅力ある資源に溢れる地域特性を生かして、首都圏をはじめ都市部からの本市への移住・定住を積極的に推進します。そのため、全国的な情報や移住定住に向けたサポート体制の充実を図ります。特に、移住定住施策の新たな戦術として、仁井サンハイツ(市営住宅)を短期移住体験施設として整備し、移住希望者の地域交流や阪神地区への通勤体験を通して移住定住を促進します。

 公共交通では、交通事業者等と協力し、生活交通である路線バスや明石海峡航路等の維持確保に努めるほか、市民の利便性の向上や市内への転入及び交流人口を増やすため、コミュニティバスの運行及び高速バス乗車券の共通化に向け、バス交通系ICカード設備の導入を推進します。また、交通事業者が撤退を予定している縦貫線の一部と西浦線の路線について、市が南部生活観光路線として公共交通体系を整備し、運行開始に向け準備を進めてまいります。また、島内の新たな交通の流れや南部生活観光バスの運行、津名港バスターミナルの今後、津名地域の医療、商業、文化施設との連携など、新たな交通拠点を含めた地域整備について調査を実施します。

 環境衛生では、市内にある4つの火葬場は、いずれも合併前に整備された施設で、岩屋火葬場は18年が経過、岩屋火葬場を除く3施設は40年以上が経過しています。これまで、修理・補修を行って機能保全に努めてまいりましたが、火葬場の更新年数である約34年を既に経過しており、長期の使用に伴う老朽化や劣化が見られます。国が発表した指針に示されている炉構造や性能、環境汚染防止装置についても、現状の施設では機能が低下している状況です。火葬場を常に良好な状態で管理し、効率的な運営のため、既存火葬場の集約と、将来、一宮地区の利用者も対応できる施設の整備に取り掛かります。

 

【3支え合い健やかに暮らせるまち(保健・医療・福祉)】

 次に、「支え合い健やかに暮らせるまち」に向けた主要施策です。

 市民の誰もが、いつでも・いつまでも心身共に健康な生活が送れるよう、保健・医療体制の充実を図ります。また、生きがいや安らぎを感じながら暮らすことができるよう、住み慣れた地域で支え合いながら安心して暮らせるまちづくりを進めます。高齢者、障がいのある人や子供とその家族を地域で支え合う地域福祉の充実を図ります。

 健康づくりでは、健康寿命の延伸に向け、特定健診やがん検診を気軽に受診できる体制の充実を図り、生活習慣病予防及び重症化予防に努めます。特に、40歳検診として、胃ABC検診、大腸がん検診の無料化を実施します。胃がん・大腸がん対策として特定健診が初めてとなる40歳市民の受診のきっかけづくりとして取り組むことにより、受診率の向上と早期発見、早期治療を推進します。

 子育て支援では、妊娠期から子育て期における総合的な窓口相談として「(仮称)子育て世代包括支援センター」を開設します。支援センターでは、保健師や助産師が妊娠・出産・育児に関する相談や悩みに応じ、母子保健サービスの案内や子育て情報の提供など、安心して妊娠・出産・育児ができるように支援します。また、多子世帯を応援するため、第2子以降で3歳児以上の児童の保育料の無料化、安心して子育てができるよう、0歳児から中学校3年生までの医療費の自己負担無料化を継続します。

 国民健康保険では、平成30年度から広域化され、兵庫県が財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業の確保等の国民健康保険運営の中心的な役割を担います。市においては、地域住民と身近な関係の中、資格管理、保険給付、保険料率の改定、賦課・徴収、保険事業等、地域におけるきめ細かな事業を引き続き担うことになります。これまで同様、徴収率の向上、特定健診受診率の向上を目指し、疾病の早期発見、治療により中長期的な医療費の抑制を図ることで、保険運営の適正化に努めます。

 

【4ふるさと淡路を学び創り育てるまち(教育)】

 次に、「ふるさと淡路を学び創り育てるまち」に向けた主要施策です。

 児童生徒の豊かな人間性を育み、個性を生かしながら確かな学力を身に付けられるように、ハード・ソフト両面から教育体制の充実を図ります。また、公民館を拠点として、学びを通した人々のネットワークや協働する体制を構築することで、家庭や地域のつながりを広げ、地域コミュニティの活性化を図る仕組みづくりに取り組みます。

 学校教育では、あゆみプロジェクト事業を継続し、小中一貫教育の推進に向けた委員会を立ち上げ、小中学校が連携して行う実践的な教育研究活動の推進を図ります。また、タブレット活用教育推進事業最終年度として、淡路市内全ての小学校4年生から中学校3年生に一人一台のタブレットの配布が完了する状況を踏まえ、児童生徒の学習における利便性の向上等を充実させ、「21世紀を生き抜く力」を創造する特色ある教育を推進します。

 社会教育では、平成28年度に策定した淡路市立図書館基本計画の基本コンセプト「ひと・知識・情報との出会いの場」で定めた基本方針に基づき、老朽化が進む津名図書館について、新たな時代に対応する図書館をめざし、施設整備を推進します。

 公民館活動では、各地域の拠点公民館を地域の生涯学習拠点と位置付け、公民館長を新たに設置し、それぞれの地域に応じた活動を展開します。

 スポーツ振興では、世界規模の大会である「ラグビーワールドカップ2019」について、キャンプ招致活動(アイルランド、スコットランド、南アフリカ等)の積極的な推進を図ります。

 青少年育成では、青少年センターの機能充実を図り、家庭・学校・地域が連携協働する青少年補導活動の展開と、不登校児童生徒への支援に努めます。

 人権教育では、人権問題に対し、学校、家庭、地域、職場などのあらゆる機会を通じて、人権意識を育み、知識や情報の提供だけでなく、言動や行動につなげていく取組を進め、様々な社会教育施設や生涯学習施設と連携しながら、身近な人権教育・学習の場の充実を図ります。

 

【5地域資源と地域活力があふれるまち(産業)】

 最後に、「地域資源と活力があふれるまち」に向けた主要施策です。

 自然の恵み豊かな淡路市の自然環境を保全し、温室効果ガスの排出の少ない「低炭素社会」の形成に向けた取組により、地球温暖化対策を推進します。また、農畜水産業の振興と特色ある地域資源の高付加価値化の取組を推進し、生産性や品質を高め、ブランド化に向けた取組を推進します。JA、商工会、漁業組合などと連携し、国県制度を有効活用し、地域経済基盤の強化を図ります。また、地域における伝統文化の継承を支援するとともに、日本遺産の認定を受けた歴史文化遺産の有効活用を図り、魅力ある誘客対策を進めることで、交流人口の増加を図ります。

 環境先進地への取組として、市ではこれまで淡路市地球温暖化対策実行計画に基づき、環境に配慮した取組を行い、二酸化炭素排出量の削減を行ってきました。平成28年5月に国の温暖化対策実行計画において、2013年度比で2030年度に地方公共団体は約40%の削減を求めることが閣議決定され、現行の市の計画を大幅に強化・拡充する必要が生じています。このような背景から、公共施設におけるCO2の排出量を削減するに当たり、環境省の補助事業を活用し、省エネ診断を実施し、実現可能なものから実施していく計画を策定します。

 農林水産業では、将来に希望の持てる魅力ある産業へと発展させていくため、国及び県事業を最大限に活用します。生産性の拡大では、農業では「ほ場整備」、漁業では「大型ノリ自動乾燥機」等の整備を支援します。農業では、農業振興地域における基礎調査、土地利用状況に即した農業振興計画の見直し、地域における農業生産活動を維持するため、中山間地域等直接支払事業や集落営農組織の育成活動を支援します。有害鳥獣対策では、国・県の支援制度を最大限活用し、市独自制度と合わせて防護・捕獲対策及び組織の見直しなど多角的に取り組みます。畜産業では、「淡路牛」として優良和牛の繁殖を促進するため、増頭及び保留事業を継続して行い、ブランド化を支援します。水産業では、水産物の安定した供給と漁家経営の健全化に向けた種苗の調査研究、中間育成、大型種苗の放流、漁場環境の改善活動等を推進します。

 商工業では、空き店舗の解消や地域の賑わいの創出に向けた新規企業者への助成、IT関連事業所の誘致に向けた支援、地域経済の活性化を促すためのふれあい商品券事業への助成など、地域経済の活性化を促進します。

 歴史文化では、平成27年度から国生みプロジェクトとして進めてきた舟木遺跡の調査研究は4年目を迎え、これまでに大きな成果が見られており、今後は、本格的な保存及び活用に向けた事業を展開します。また、史跡五斗長垣内遺跡整備事業は、平成30年度を持って完了するため、五斗長垣内遺跡体験ボランティア講座(仮称)を新たに開講し、地域の文化的財産を将来へ守り伝える人材の育成を行います。

 観光施策では、「世界的観光立島・淡路市」の実現に向け、淡路島の魅力を全国に発信し、誘客促進を目指した「淡路の魅力を届ける事業」、「まるごとにっぽんPR事業」の実施、淡路市の魅力を島内外に広く発信するための「おむすびコンテスト・具―1グランプリ」、「淡路市夏まつり」を実施します。また、淡路島の玄関口である岩屋ポートビルの建替え事業、岩屋海水浴場利便施設の整備による岩屋地区の活性化に向けた取組を推進します。

 

 以上、主要な施策について、申し述べてまいりましたが、第2次淡路市総合計画・前期基本計画やその他各種計画に基づき、「チーム淡路市」一丸となり淡路市が目指す将来像へ着実にまちづくりを進めてまいりたいと考えています。

 

【むすび】

 最後に、今年度は、平成17年度から平成32年度まで合併の特例措置として優遇される残り3年という期間となります。旧町からの課題の解決、新市としての施策の展開や各地域で計画されているものを着実に進めてまいります。これまで同様、身の丈にあった市政運営を確立し、市民サービス向上を最大目標に、淡路市に住んで良かった、帰ってきて良かった、訪れて良かったと思える「いつかきっと帰りたくなる街づくり」をスローガンに、「チーム淡路市」として合併の仕上げに取り組んでまいります。

 

 終わりに当たり、議員の皆様におかれましては、今後も円滑な行政運営ができますよう、なお一層の御指導と御支援を改めてお願い申し上げ、市民の皆様の御理解と、御協力を重ねてお願い申し上げまして、平成30年度の施政方針とさせていただきます。