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世界の「地質遺産100選」に野島断層が選ばれました

印刷用ページを表示する掲載日:2022年11月25日更新
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兵庫県の2か所 野島断層(淡路市)と玄武洞(豊岡市)

2022年10月25日から28日にスペイン北部のバスク海岸ジオパークで国際地質科学連合(IUGS)の大会が開かれ、世界中の高い国際的価値を持つ地質遺産の中から世界最初の「地質遺産100選」が発表されました。

国際地質科学連合は世界121か国の100万人を超す地球科学者が参加する世界最大の化学組織の一つです。世界の「地質遺産100選」は、全ての地質科学団体がともに地球とその歴史の理解に対してインパクトがあると認めた世界中の地質遺産地点を選び、命名していく試みの始まりです。

100選に日本から選ばれたのは野島断層と玄武洞(豊岡市)の2箇所です。世界では、グランドキャニオン(米国)やエベレスト山頂の海洋成岩石(中国・ネパール)、エアーズロック(豪州)などが選出されています。

世界の「地質遺産100選」(証明書)

https://www.nojima-danso.co.jp<外部リンク>(野島断層保存館 北淡震災記念公園)

野島断層の選定理由

野島断層は「構造運動」と「地形学と活動的な地質過程」の2つの地質学的な観点から選ばれました。

現在の活動的である断層(活断層)が、1995年神戸地震(兵庫県南部地震 M7.3)を起こし、その断層運動によって現れた地表のずれ(地震断層)が「野島断層」です。野島断層では、断層運動と地震発生の過程が、地震直後の地形・地質調査やトレンチ発掘調査、大深度ボーリング調査、地震波探査や電磁気探査などの物理探査によって、世界で最も詳しく調査、研究されてきました。
野島断層では、上下ずれ、横ずれ、分岐断層、断層位置のステップや地割れなど、さまざまな断層変位が200メートル長の範囲で明瞭に観察でき、断層運動に伴う地表の典型的な変形を学習できます。
さらに、断層変位による道路や建物などの人工構造物の破壊の特徴も観察できます。こうした点が、「地形学と活動的な地質過程」として、評価されました。

一方、山側隆起や右横ずれといった野島断層の特徴は、淡路島の隆起と播磨灘側の沈降という第四紀後半における地殻変動を象徴的に教えてくれます。この過程は、トレンチ調査やボーリング調査等を通じて明らかにされた野島断層の活動史と活動様式から推察されてきました。
野島断層の研究は、近畿三角帯という地形区を形成した第四紀の地殻変更(いわゆる六甲変動)の姿を、より具体的に詳細に明らかにする研究へと進展させる契機ともなりました。こうした点が「構造運動」としての評価につながりました。

 

選定ポイント

保存と活用という観点も評価されています。
野島断層は、旧北淡町により1998年4月から野島断層保存館内に屋内保存・一般公開され、現在まで地震当時の状況を良く残した状態で維持・管理されています。教育的利用も進められ、学校団体をはじめとする多数の来館者に断層や地震の科学を普及し、地震災害への備えを促す役割も果たしてきました。
また、普及講演会や国際シンポジウム等、国内外の研究者や市民に、その学術的価値や文化財的価値を広めてきました。これらの活動は、IUGSの地質遺産100選の将来目的に対して模範となる例の一つです。

 

国際地質科学連合(International Union of Geological Sciences 愛称:IUGS)

・地質の分野における国際協力を目的に設立された非政府組織

・国際地球観測年の成功を受け、1961年3月に設立

・ノルウェーのトロンハイムにあるノルウェー地質調査所に事務局が所在

・100万人以上の地球科学者を代表する121か国のメンバーから組織

・世界的に重要度の高い地質学の課題にかかる研究を促進し、地球科学における国際的かつ学際的な連携をサポート

https://iugs-geoheritage.org<外部リンク>(Iugs国際地質協会)


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