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令和2年度 淡路市長施政方針

印刷用ページを表示する掲載日:2020年3月2日更新
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【はじめに】

それでは、新年度予算案及び関連諸議案の提案に際し、市政運営への所信を明らかにし、議員各位、特に市民住民の皆様への御理解と御賛同を賜りたいと思います。

 さて、淡路市は、この3月をもって市制15年を満了することになります。公平公明な公共サービスの現場を担うというのが淡路市であります。国や県は傾向としましては理論先行であります。淡路市は現場でありますから、市民住民と一体となっていろんな行政執行を行っていかなければならない、これが同じ行政でも大きな違いであります。そういうことからも、市行政は、常に市民住民サービスの維持・向上に努めていかなければなりません。

 淡路市の基本姿勢は、三つあります。

  一つ目は、集約のメリットを生かして質の向上を目指す。

  二つ目は、地域の融合融和を図り、一体感の醸成を目指す。

  最後の三つ目は、継続的財政運営と市政全般の適正化を目指す。

 ことであります。これまでぶれたことは一度もありません。

この3点に目安がついたときが、淡路市が田園文化学園都市としての礎を築くことができたということになります。

 市制発足時から15年を迎えるということの総括では、主には財政再建、地域のバランス整備、企業の誘致、少子化対策、そして教育の振興というものに重点を置いて取り組んでまいりました。それぞれが、身の丈に合った視点でミッションを進めてきた成果であります。国におかれては、来年から5年計画でパソコンを全児童生徒に整備する方針でありますが、淡路市教育委員会が始めましたタブレット事業では、教育の指導手法を先行させながら、小学4年生から中学3年生まで、もう既に配付を完了しています。公共交通では地域の身の丈に合った「あわ神あわ姫バス」、島の唯一の航路を確保維持する「まりん・あわじ号」、これらは市民住民に利用され、更なる期待をされております。

 このような施策の取組に淡路市は、4年ごとのスケジュールを刻んできました。

 少し詳しく15年を振り返ってみますと、1期目の平成17年度から平成20年度は、「明石海峡大橋無料化」をスローガンに、「故郷五弁の花の集約」をマニュフェストに掲げ、「5町の融和」、「赤字回避」、「バランスに配慮した整備」に取り組んでまいりました。2期目の平成21年度から平成24年度は、「世界的観光立島淡路市」をスローガンに、「身の丈に合った市政運営」をマニフェストに掲げ、「企業誘致の展開」、「観光施策の推進」、「行政改革の断行」に取り組んでまいりました。3期目の平成25年度から平成28年度は、「淡路島を世界遺産に」をスローガンに、「いつかきっと帰りたくなる街づくり」をマニフェストに掲げ、「教育の充実」、「企業誘致」、「観光事業推進と安全・安心対策」に取り組んでまいりました。4期目の平成29年度から令和2年度は、「身の丈に合った田園都市の構築」をスローガンに、「いつかきっと帰りたくなる街づくり」をマニフェストに掲げ、「安全・安心快適な環境整備」、「身の丈に合った行財政の推進」、「夢のある市の環境づくり」と4期目の仕上げに取り組んでいるところであります。

 そうした中、昨年を振り返ってみますと、たくさんの事業を実施してきました。5月には五斗(ごっ)長垣内(さかいと)遺跡(いせき)の施設の完成式。6月には全国ハーブサミット、7月には夏まつり、参議院議員通常選挙。9月にはラグビーワールドカップ、サモア、ロシアチームのキャンプ受入れ、10月には黄金に輝くゴールデン・ドリームバスを導入した南部生活観光バスの運行、そして国生みマラソン。11月には防災訓練、そして香りの公園30周年イベントなど多彩に展開してきました。また、東浦出身で阪神タイガースの近本(ちかもと)光司(こうじ)選手の大活躍、そして淡路市スポーツ親善大使に就任していただくことができました。聖隷淡路病院での新生児の誕生は、627人に達しましたが、産婦人科医の不足により、休止に至ることとなっています。淡路市としても、引き続き医師確保に取り組んでいる状況であります。

 15年というある意味短くもあり、ある意味長くもある合併からの経過がありますが、「時代を先取りする者は、未来を制する。」とも言われております。民間会社が調査をしています「市区町村魅力度ランキング(地域ブランド調査2019)におきまして、淡路市は64位と評価をされました。兵庫県内で100位内に入っているのは政令指定都市の神戸市が5位、中核市の姫路市が28位、宝塚市が53位、芦屋市が66位ということで、いろんな基準があるのでしょうが、一定の評価がされていることの表れであり、これまで取り組んできたことが、まさに間違っていなかったのではないかなと思っています。

 そして、20周年に向かうこれからの5年間は、淡路島全体が飛翔する礎を築かなければならない節目の時代であります。これからの淡路市が目指すものは、総括をしますと、「大阪湾活性化プロジェクト」と言ってもいいでしょう。淡路島の北の玄関口、JR舞子駅に新快速を止める運動、紀淡連絡道路と四国新幹線構想、海路の復活は、関西国際空港、舞(まい)洲(しま)、泉佐野、そして神戸からと可能性は多様で、津名港復活プロジェクト、あわじ交流の翼港、岩屋港などの活用推進と、夢は広っていきます。陸路は、淡路北スマートインターチェンジの開通、そして自転車道路の拡張整備などは、2025年の国際博覧会、いわゆる大阪・関西万博、大阪が提唱しているカジノを含む統合型リゾート、いわゆるIR(Integrated(インテグレーテッド) Resort(リゾート))と併せて、関西の起爆剤につながります。新たな時代を迎えた今、淡路市もその一翼を担ういろいろな施策に取り組んでいかなければなりません。

これからの淡路市のイメージを再確認しますと、

この津名地区は、都市機能集積ゾーン、淡路島の核であります。市役所、市民交流館、防災あんしんセンター、関西看護医療大学など。

一宮地区は、産業振興ゾーンであります。航空機産業、線香業、医療薬品業など。

北淡地区は、文化遺産ゾーン、震災記念公園、五斗(ごっ)長垣内(さかいと)遺跡(いせき)、そして舟木遺跡、パワースポットなど。

岩屋地区は、淡路島の玄関ゾーンとして、岩屋港、田(た)ノ代(のしろ)海岸(かいがん)、鵜崎の埋立地など。

最後に東浦地区ですが、ニュータウンゾーン、いわゆる淡路市の核であります。サスティナブルシティ、道の駅、交通結節点など。

5地域でバラバラであるという課題について、視点を変えて資産として生かす、点と点を線で結び面的に捉えることで、これまで推進してきた「田園文化学園都市」を目指すというのが、今の淡路市の方向性であります。

 

【経済情勢・財政状況】

 政府は、「アベノミクスの推進により、デフレでない状況を作り出す中で、国の経済は長期にわたる回復を持続させており、GDPは名目・実質ともに過去最大規模に達し、雇用・所得環境も改善し、2000年代半ばと比べて景況感の地域間バランスも小さくなっているなど、地方における経済は厳しいながらも、好循環の前向きな動きが生まれ始めている。」とされています。

一方で、景気の先行きについても、「穏やかな回復が続くことが期待されるものの、消費税率引上げ後の経済動向を注視するとともに、台風等の被害からの復旧・復興の取組を更に加速し、あわせて米中貿易摩擦など海外発の下方リスクによる悪影響に備える必要がある。」とされており、今後も景気の動向には予断を許さない状況にあります。

このような経済状況の中、国は地球環境と両立した持続的かつ包括的な経済成長の実現と財政健全化の達成に向けて、「経済財政運営の改革と基本方針2019」、いわゆる「骨太の方針」に基づき、「Society(ソサエティ)5.0時代に向けた人材・技術などへの投資、生産性の飛躍的向上」、「消費の拡大と外需の取り込み」、「一億総活躍社会の実現」、「人づくり革命及び働き方改革」、「自然災害からの復興や国土強靭化」、「観光・農林水産業をはじめとした地方創生」を掲げ、デフレ脱却・経済再生と財政健全化に一体的に取り組むとされています。

令和2年度の国の予算の基本的な方針では、「「経済財政運営と改革の基本方針2018」及び「経済財政運営と改革の基本方針2019」に基づき、経済・財政一体改革を着実に推進するとともに、引き続き、2025年度の財政健全化目標の達成を目指し、新経済・財政再生計画で定める目安に沿った予算編成を行い、我が国財政の厳しい状況を踏まえ、引き続き、歳出全般にわたり、聖域なき徹底した見直しを推進する。地方においても、国の取組と基調を合わせ、徹底した見直しを進める。」こととされており、本市におきましても国の施策の動向をしっかり注視し、的確に対応していく必要があります。

また、令和2年度の「地方財政計画」におきましては、地方が人づくり革命の実現や地方創生の推進、地域社会の維持・再生、防災・減災対策等に取り組みつつ、安定的な財政運営を行うことができるよう、令和2年度の一般財源総額につきまして、前年度を7,246億円上回る63兆4,318億円程度を確保することとされています。

 

 さて、本市の財政状況ですが、決算では14年連続の黒字を確保し、財政の健全化を示す指標である健全化判断比率も平成30年度決算における実質公債費比率14.7%、将来負担比率173.9%と着実に改善を進めました。しかし、兵庫県内及び全国で比較しますと、依然として高い比率となっています。

 また、歳出では、令和2年度から施行される会計年度任用職員制度では、処遇の改善による期末手当の支給や、社会保険料の増額等に約1億5,000万円の経費を要することになります。

 歳入では、固定資産税では太陽光発電設備関係で増収を見込む一方、市民税では現在の経済状況では増収を見込むのは厳しい状況にあります。また、歳入総額の約40%を占める地方交付税では、合併の特例措置として加算されている「合併算定替経費」が、令和2年度は9割縮減されることとなります。前年度と比較して約2億円の減収を見込んでおり、普通交付税の減収は健全化判断比率にも影響が及び、上振れが予測されることから、引き続き、地方債の繰上償還や、普通交付税による有利な措置のある地方債の発行を検討し、指標の改善に努めてまいります。

 

【重点項目】

 「令和」という新時代が到来し、淡路市は令和2年4月1日に市制15周年の節目を迎えることから、これまで積み上げてきた成果を糧に、更に今後5年間を視野に入れた施策の展開を図る必要があります。また、まちづくりを進めるための指針となる「第2次淡路市総合計画」に基づく各種施策を確実に実行し、新たなるステージの将来像である「いつかきっと帰りたくなる街づくり」を実現するため、安定的に施策を実行できるよう「持続可能な財政運営」を主として、緊急性・必要性の高い事業を優先的・重点的に実施していくため、「特色ある教育の充実」、「企業誘致の積極的な推進と人口減少への対策」、「総合的観光施策の充実」、「少子対策」、「市民の安全・安心対策」の5本柱を重点項目とし、スピード感を持って困難な課題に取り組みます。

 

【特色のある教育】

 まず、一つ目の「特色のある教育の充実」です。

 現在、国際化社会や情報化社会への移行、科学技術の急速な進歩、特に人工知能など技術革新がより一層急速に発展しています。さらに、少子高齢化の進展や雇用環境の変容など、予測困難な時代を迎えています。このような社会環境の中で、子どもたちが社会の変化に適切に対応し、自己実現を果たすためには常に主体的に学び、自ら課題を発見し、解決のために仲間と共に協働しつつ人生を切り拓いていく力が求められています。

 そのため、令和2年度から、「あいプロジェクト事業」を始動し、淡路市の教育の変革に挑むプロジェクトを通じて、未来に輝く淡路市を支える児童生徒の育成に取り組みます。

 環境整備では、今後発生が予測されている南海トラフ巨大地震に備え、市内小中学校に地震速報装置を設置し、校内放送と連動させることで児童生徒に対して迅速に、かつ、的確な対応ができるように整備します。そして、防災学習・訓練を行うことで、地域の一員としての自覚を持って行動しようとする態度を育成します。

 また、現代の社会では、若者世代を中心とした読書離れの進行が言われています。淡路市の図書館においても20歳代までの利用率が低く、さらにはそれも含め40パーセントを超える未利用者への対策が課題となっており、図書館には、図書資料を提供するにとどまらない新たな役割が求められています。このような課題解決に取り組み、市民が求める情報を集積・発信し、誰もが足を運びたくなる環境とサービスを提供できる施設を目指し、淡路市立図書館基本計画の基本コンセプト「ひと・知識・情報との出会いの場」で定めた基本方針に基づき、老朽化した津名図書館について、新たな時代に対応し、市民に求められる施設整備を引き続き推進します。

 

【企業誘致】

 次に、二つ目の「企業誘致」です。

 淡路市は、海岸部に市街地が多く、また、東海岸(東浦)、西海岸(西浦)に分断されている地形ではあるものの、明石海峡大橋と市内にあるインターチェンジを利用することで、阪神圏には1時間以内、関西国際空港には1時間30分以内で移動できる利便性があることから、阪神圏からの通勤通学が可能な圏域でもあります。

本州と四国を結ぶ交通の要衝であり、津名生穂地区にある兵庫県の公共護岸もあることから、積極的に市有の遊休施設や遊休地を活用して、これまで企業誘致に取り組んでまいりました。

 先月、兵庫県が、2025年の大阪・関西万博(2025国際博覧会)やカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を見据え、また、神戸や淡路島での海上交通網の整備も視野に、尼崎から淡路島にかけてのベイエリアに大規模な宿泊施設や会議施設の誘致を検討していること、また、日本国際博覧会協会に淡路島などを万博のサテライト会場として提案することが発表されました。一昨年に国土交通省が発表した、国営明石海峡公園淡路地区内の約1ヘクタールの海岸ゾーン開発や、国営北淡路地区における再整備によるほ場での、いわゆる農業版の企業誘致など、これらは本市にとって企業誘致の起爆剤となっています。

本市への企業の進出は、就業の場を増やし、人口の増加へとつながり、地域経済の活性化など多くの期待と可能性を有しています。

今後も、淡路市独自の誘致活動に加え、海外や国や県の取組についての情報収集に努め、また、連携して企業誘致に取り組んでまいります。

 

【総合的観光施策】

 次に、三つ目は、「観光施策」の推進です。

 これまで本市は、国内外から訪れる観光客を呼び込めるよう関係機関、関係団体と連携しながら環境整備に取り組んでまいりました。令和2年は、県立公園「あわじ花さじき」が直売所、レストラン等の機能を持つ便益施設として、3月20日にリニューアルオープンをすることが予定されています。また、「淡路北スマートインターチェンジ」が全国で初となる民間施設直結のスマートインターチェンジとして、3月29日に供用が予定されています。高速道路本線を利用しなくても淡路ハイウェイオアシス・淡路サービスエリアで食事や買い物ができることから、観光交流拠点の一つとなります。また、「淡路花博・ジャパンフローラ2000」から20年、自然再生に取り組んできた淡路夢舞台や島内の花博関連施設の充実など、20年前の開催理念である「人と自然の共生」の再認識、継承と更なる発展に加え、旅行者が快適に島を満喫できる環境づくりにより観光交流人口の拡大のため、「淡路花博20周年記念 花みどりフェア」が2020年秋と2021年春に「淡路夢舞台」、「国営明石海峡公園」、「あわじ花さじき」などを会場に開催されます。これらの施設やイベントと淡路市の観光施設との連携により観光地としての魅力の向上が期待できることから、産業振興の活性化や誘客に向け取り組んでまいります。

 また、5年間の計画期間である「淡路島総合観光戦略」を淡路島として取り組むため、兵庫県と島内3市から職員を派遣し、体制強化を図った淡路島観光協会と連携し、関西圏・首都圏向け誘客キャンペーンのほか、ファムトリップや海外旅行博への出店、商談等を引き続き実施し、海外からの誘客促進を図ります。

【少子対策】

 次に、四つ目は、「少子対策」の推進です。

 国においては、子育て支援を含む新たな制度として、子育て安心プラン、新しい経済政策パッケージ、新・放課後子ども総合プラン等が整備されており、待機児童の解消や幼児教育の無償化、働き方改革など、子育て環境の改善に資する支援制度の枠組みが整いつつあります。

 本市の状況を見てみますと、少子高齢化の進行に伴うライフスタイルの多様化、地域における相互扶助機能の低下、子育て世代における女性の就業が高い傾向にあるなど様々な課題があり、きめ細かな支援が必要とされています。

 子どもたちが健やかに育つ養育環境と、地域のふれあいの中で子育て支援に関わる様々な施策を通じ、家庭その他の場において、子育ての意義について理解が深められ、かつ、子育てに伴う喜びが実感されるとともに、次世代を担う子どもたちが地域のみんなに支えられ、心身ともに健やかに成長できるよう、

  (1)全ての子どもたちが心豊かな成長や発達を支援する視点

  (2)誰もが安心して子どもたちを産み育てたいと感じさせる視点

  (3)地域社会が一体となって、子育て家庭を支援する視点

の3つの基本視点から、安心して子どもを産み育てられる環境づくりに取り組みます。

【安全・安心】

 次に、五つ目は、「安全・安心対策」です。

 本市は、防災の第一義的責任を有する地方公共団体の現場として、地域並びに市民住民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、関係機関や公共的団体等の協力を得て防災活動に取り組みます。さらに、市民住民や地域団体、NPO、事業所などがそれぞれの役割を果たすための活動がしやすい環境の整備に努めます。また、行政の対策「公助」には限界もあることから、市民住民一人一人が自分の命や財産を自分で守る「自助」、地域で助け合う「共助」を適切に組み合わせた取組を推進することで防災・減災対策を推進します。

 また、生活観光交通施策として運行している「あわ神あわ姫バス」では、市民住民生活の質の向上と定住化の促進、観光集客産業の活性化の観点から、市民住民から届いている御意見をできるものから反映し、効率的で利便性の高い公共交通サービスの提供を目指してまいります。

また、近年の少子高齢化、人口減少社会の到来は、住まいを取り巻く社会情勢を大きく変化させています。年々空き家数が増加していることから、空き家等の適切な管理の促進や活用方策、市内の多様な住宅ストックを活用した住み替え対策など、今後、より良い住まいや、まちの共通目標の実現に向けて、住まい・まちづくりの主役である市民住民、住宅の主要な供給者である民間事業者、政策の立案と推進を行う市等の様々な主体が、それぞれの役割を果たしつつ、主体的な取組を進めるとともに、相互に連携し、協働して住まいや住環境に関する施策に取り組んでまいります。

 それでは、令和2年度の主要施策について、第2次淡路市総合計画・前期基本計画に沿って述べます。

 

【第2次淡路市総合計画・前期基本計画】

【1、共に築く次世代につなぐまち(共生・協働・行政経営)】

 まず、「共に築く次世代につなぐまち」に向けた主要施策です。

 人権のまちづくりの推進では、人権を尊重した社会の実現には、市民住民一人一人が人権問題に関心を持ち、正しい理解と認識を深めることが重要です。人権問題に対し、あらゆる機会を通じて、人権意識を育んでいくことが必要なため、情報収集・提供機能の充実を図ります。また、9月27日には、淡路市において「第67回兵庫県人権教育研究大会中央大会」が開催される予定となっており、この大会では県内各地における研究実践活動の交流を図り、共通する問題点や課題について討議されることから、今後の活動に役立つよう推進してまいります。

住民参画では、人口減少、少子高齢など様々な地域課題に対して、市民住民と市がそれぞれの役割を理解し合い、地域住民が自ら積極的に市政に参画し、魅力あるまちづくりに取り組む団体の支援を行います。

 市民交流の促進では、地域に住む人たちが、自分たちの住む地域を愛し、将来にわたり住み続けたい、ふるさと淡路に帰ってきたい、訪れたいと感じるまちづくり、「いつかきっと帰りたくなる街づくり」の実現に向け取り組んでまいりました。15年間の歩みについて、市制15周年記念式典の開催と記念事業の実施により、市民住民一体感の醸成をより一層推進したいと思っています。

 行政改革では、持続可能な市政運営に向け、これまで行政改革大綱や新行財政改革推進方策等を推進し、経費削減に取り組んでまいりましたが、人口減少や厳しい財政状況といった課題は継続しています。行政改革は痛みを伴うため、市民住民等に丁寧な説明を行いながら着実に進めることにより、淡路市総合計画に掲げた事業の推進に、限られた行政資源を最大限活用することで、行政サービスの質の維持・向上に努めてまいります。

 

【2、安全・安心で快適に暮らせるまち(定住環境)】

 次に、「安全・安心で快適に暮らせるまち」に向けた主要施策です。

 昨年は、全国で大きな災害に見舞われた年でありましたが、淡路市においては、大きな被害はなく、比較的平穏な年でありました。「天災は忘れた頃にやってくる。」という警句は有名であります。これは、起きてしまった災害を忘れることなく、日々の備えをしようという意味であります。市内で大きな被害に見舞われた「阪神・淡路大震災」や「台風災害」を教訓に、災害への備えや防災意識の高揚に努め、防災士のフォロー研修を実施します。また、災害発生後、被災者の保護や支援を速やかに実施できるよう、情報を一元管理できるシステムの導入や、災害の発生前や発生時の情報伝達手段として有効なデジタル防災行政無線設備の運用により、市民住民が安心して暮らせるまちづくりを推進します。

 定住促進では、市内にはインターチェンジが4か所あり、間もなく淡路北スマートインターチェンジの供用が開始されることから、アクセスはさらに容易になります。また、明石海峡大橋により阪神間に隣接し、高速バスも充実していることから、大阪・神戸へも短時間でアクセスでき、市内を周遊する生活観光バスの運行により交通の利便性が増し、恵まれた自然環境での定住地としての適地でもあります。これらのPRに加え、実際の田舎暮らしを体験してもらうため、拡充した短期移住体験施設を活用し、移住定住を促進します。

 火葬場では、老朽化した施設の集約による効率化を図るとともに、人生の終焉(しゅうえん)を飾るにふさわしい厳粛な場として、近代的な技法を取り入れ、住民の福祉と公衆衛生の向上に応えられる施設整備を推進します。

 可燃ごみの焼却処理施設では、島内3市と淡路広域行政事務組合が連携し、島内のごみ焼却処理施設の統合に向け、基本計画の策定や建設場所の決定に向けた取組を推進します。

 消費者保護の充実では、最近、市内でも、警察官を語る電話で口座が悪用されていると偽り、現金やキャッシュカードをだまし取られるなどの被害が発生しています。このような被害を未然に防ぐため、これまで以上に関係機関と連携し、相談情報の収集・提供などに努めてまいります。また、悪質商法による被害や商品の苦情、食の安全・安心などの、様々な暮らしに関する相談、講演会、出前講座など消費者力アップに向けた支援を継続して取り組んでまいります。

 

【3、支え合い健やかに暮らせるまち(保健・医療・福祉)】

 次に、「支え合い健やかに暮らせるまち」に向けた主要施策です。

 近年、少子高齢化、単身世帯化が進んでいる中、家族関係や地域社会の在り方が大きく変化しており、また、価値観や生活スタイルの多様化など、福祉課題は多様化・複雑化しています。市は、公的な福祉サービスを提供するとともに、市民住民や町内会、事業者、ボランティアやNPO法人、企業、社会福祉協議会などの多様な主体の活動を支援し、誰もが安心して暮らしていけるまちづくりを推進します。

 地域福祉の推進では、地域の課題に対しては、住み慣れた地域で自立した生活を送るために公的な福祉サービスだけではなく、地域の人的資源や社会的資源を活用し、地域に密着した支援が求められており、福祉課題を解決に導く「つなぎ役」として、地域の中でのキーパーソンである地域福祉コーディネーターが活動をしてくれています。地域福祉コーディネーターが、情報収集・発信をはじめ、地域福祉活動を活性化させるための総合的な地域福祉の拠点である福祉会館の整備に取り掛かります。

 高齢者福祉では、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自立した日常生活を営むため、医療・介護・予防・生活支援サービスなどが一体的に提供される「地域包括ケアシステム」を進めるとともに、「いきいき100歳体操」の普及啓発、生活支援コーディネーターの設置など、これまで進めてきた施策を継続することで介護予防事業に取り組み、健康寿命の延伸による活力ある社会の実現を推進します。

 障がい者福祉では、「Share(シェア) Your(ユア) Light(ライト)(あなたは、きっと、誰かの光だ。)のコンセプトに賛同し、8月14日、五斗(ごっ)長垣内(さかいと)遺跡(いせき)において、「東京2020パラリンピック聖火フェスティバル」を開催する予定としています。このコンセプトは、「パラリンピック聖火リレーを通じて、社会の中で誰かの希望や支えとなっている。多様な光(人)が集まり、出会うことで、共生社会を照らす力としよう。」という想いを表現しています。淡路市においても、2020年を契機に、一人一人が互いの価値や輝きを認め合う共生社会を実現すべく、人と人、人と社会との「新しいパートナーシップ」を考えるきっかけとなるよう取り組んでまいります。

 また、本市において障がい者が自ら望む地域生活を営むことができるよう、障がい福祉サービスの一層の充実や、障がい児支援ニーズの多様化にきめ細かく対応するための支援の拡充を図るほか、サービスの質の確保・向上を図ることとして策定された「第5期淡路市障がい福祉計画」「第1期淡路市障がい児福祉計画」について、令和2年度で計画期間が満了することから、これまでの取組の検証を行い、3年間を計画期間とした新たな計画の策定に取り組みます。

 子育てでは、学童保育と放課後子ども教室の一体型又は連携した運営を更に推進します。また、学童保育一宮の安全性・利便性を確保するため、学童保育一宮を一宮小学校の余裕教室に移転し、学童保育の充実を図ります。

 

【4、ふるさと淡路を学び創り育てるまち(教育)】

 次に、「ふるさと淡路を学び創り育てるまち」に向けた主要施策です。

 児童生徒の豊かな人間性を育み、個性を生かしながら確かな学力を身に付けられるよう、「協働学習」「情報活用能力を基盤とする学び」「最先端技術を取り入れた学び」など特色ある教育を推進します。また、各地域の拠点公民館を地域の生涯学習拠点と位置付け、公民館長を中心に地域・家庭・学校が連携し、地域の教育力を高める取組を推進します。

 学校教育では、英語を母国語とする外国語指導助手の配置により、小学校の外国語授業の教科化への対応、児童生徒に対して外国語教育の充実を図るとともに、異国語、異文化に触れることにより、国際理解教育の充実を図ります。

 社会教育では、生涯学習・地域活動の拠点として公民館を活用し、主体となる人づくりをより推進するとともに、地域に応じた市民主体の活動を支援します。

スポーツ振興では、「ラグビーワールドカップ2019日本大会」の公認キャンプ地として受け入れた経験をレガシーとすべく、淡路島でラグビーの魅力と精神が引き続き浸透することを目的にタグラグビーの普及を推進します。また、「2020東京オリンピック・パラリンピック」の事前キャンプ地を兵庫県と連携し、県立淡路佐野運動公園を活用した招致活動を推進します。

 青少年育成では、青少年センターと学校との連携により、特別に支援を必要とする児童生徒の把握、研修の実施及びいじめを中心とした生徒指導上の諸問題の未然防止や教育課題の解決に努めます。また、保護者や地域住民からの相談及び問題事案等への総合的な取組や、その実態に応じた児童・生徒・家庭への支援を行います。

【5、地域資源と地域活力があふれるまち(産業)】

 最後に、「地域資源と活力があふれるまち」に向けた主要施策です。

 国・県の支援制度を積極的に活用するとともに、淡路市独自施策の充実を図り、農畜水産業の振興と特色ある地域資源の高付加価値化の取組、生産性の拡大や品質を高めることで、ブランド化に向けた取組を推進します。

 また、市内で実施されるイベントや淡路島観光協会と関連機関が連携し、淡路島が一体となった観光事業により、交流人口、関係人口の増加につながる観光施策を推進します。

環境汚染防止では、住民参加型活動を促進し、ポイ捨て禁止や環境美化活動をはじめ、ごみカレンダーによるごみの分別や出し方などの周知に取り組んでいるところですが、町内会が管理している粗大ごみステーションへの不法投棄が散見されることから、抑止力に効果がある監視カメラ設置を支援します。

 農業では、国営北淡路地区をはじめとする市内の遊休農地において、農地のマッチング、PR活動により耕作放棄地の解消に努めます。また、耕作放棄地の農地を活用し、経営面積の拡大を図る担い手に対し、経営の安定化や規模拡大に必要な取組を支援します。イノシシによる被害防止対策は、防護・捕獲対策に継続して取り組みます。ため池対策では、防災・減災対策に向けた改修工事等を計画的に実施し、あわせて、特定ため池点検と特定外ため池の適正な維持管理に向けた取組を支援します。

畜産業では、優良和牛の生産を高めるため、増頭及び保留事業に対し支援を継続し、畜産振興や主産地形成を推進し、淡路ビーフのブランド化を支援します。

水産業では、豊かな海づくり・美しい海づくりに取り組み、ヒラメ、カレイ、クルマエビなどの種苗放流やマダイの中間育成などに継続して支援し、水産物の安定供給及び漁業経営の安定化を図ります。また、令和3年度に兵庫県において、「全国豊かな海づくり大会」が開催され、淡路島はサテライト会場となります。この大会において、天皇皇后両陛下によるマダイ放流が予定されています。淡路島のマダイPRの絶好のチャンスであることから、県・島内3市が連携してマダイのブランド化、販路拡大に向けた商品化に支援を行います。

 商工業では、商工会と連携し、起業セミナーの実施や窓口相談等の起業養成、新たな産業や雇用の創出、消費や販路の拡大への取組を支援します。

 歴史文化では、舟木遺跡や五斗(ごっ)長垣内(さかいと)遺跡(いせき)をはじめとする遺跡群の総合的な調査を行うことで、弥生社会で果たした淡路島の役割を解明し、淡路市が先導した「日本遺産」の魅力発信ができるよう取り組みます。

 観光施策では、地域の天然観光資源である海水浴場について、開設期間の拡充を図ることで交流人口の増加につながる誘客策に取り組みます。

 例年、市、淡路島国営明石海峡公園、各種関係団体等と力を合わせ、夏の一大イベントとして実施しています「淡路市夏まつり」については、安全を考慮し、日程を更に前倒しをし、警備体制が整う7月12日開催で計画しているほか、11月3日には「第10回おむすびコンテスト・具-1グランプリ」も開催します。

 また、淡路市産の地酒等に親しみを持っていただくことによって、地酒の更なる消費とともに、観光に資するため、会合等で乾杯を推進します。地元食材を利用した料理など淡路市の恵みの地産地消の拡大を図るとともに、地域産業振興の活性化や地域食文化への理解を図りたいと考えています。

 以上、主要な施策について、申し述べてまいりましたが、第2次淡路市総合計画・前期基本計画やその他各種計画に基づき、「チーム淡路市」一丸となり、淡路市が目指す将来像へ着実にまちづくりを進めてまいりたいと考えています。

 

【むすび】

 最後に、一昨年、関西経済連合会の松本正義会長が淡路島で講演をされたとき、「淡路島には核がない。」と語っておられました。この言葉の意味は、「今後、万博、IRで夢(ゆめ)洲(しま)と舞(まい)洲(しま)、淡路島が一緒になって何かできるのではないか、淡路島には可能性がある。」という激励の言葉であったと思っています。これからの5年間は、淡路島全体が飛翔する礎を築かなければならない節目の時代であると認識しています。それぞれの立ち位置、価値観があろうかと思いますが、最後まで継続し、ぶれずにやり抜くことが、最終的に今の淡路市が後継者に託していく大事な要点ではないかと思っています。いろんな課題もあります。市民住民、企業、各種団体、市議会、そして職員など「チーム淡路市」による「夢のあるまちづくり」に取り組んでまいりたいと思っています。

 終わりに当たり、議員の皆様におかれましては、今後も公平・公明・公正な行政運営ができますよう、なお一層の御指導と御支援を改めてお願い申し上げ、また、市民住民の皆様の御理解と、御協力を重ねてお願い申し上げまして、令和2年度の施政方針とさせていただきます。