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平成31年度 淡路市長施政方針

印刷用ページを表示する掲載日:2019年3月1日更新
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【はじめに】

 第77回淡路市議会の開会に当たり、御挨拶を申し上げます。本日、定例会を招集いたしましたところ、議員各位には、定刻に御参集をいただき、ここに開会の運びになりましたことを、衷心より厚くお礼を申し上げます。

 平成31年度の市政運営に当たり、基本的な考え方や主要施策については、施政方針において、詳細に述べさせていただきますが、引き続き、市民サービスの更なる質の向上に努め、淡路市に住んで良かった、淡路市に帰ってきて良かった、淡路市に訪れて良かったと思える「いつかきっと帰りたくなる街づくり」を力強く推進していく所存であります。

 議員各位におかれましても、今後の市政運営に格別の御指導、御鞭撻を賜りますよう、お願いを申し上げ、開会に当たりましての御挨拶とさせていただきます。

 それでは、新年度予算案及び関連諸議案の提案に際し、市政運営への所信を明らかにし、議員各位、特に市民の皆さまへのご理解とご賛同を賜りたいと思います。

 さて、淡路市は、平成17年の市制発足から14年の歳月が流れ、15年の節目を迎えようとしています。市行政は、市民にとりまして最も身近な行政機関であり、常に市民サービスの維持・向上に努めていかなければなりません。

 市政発足時から厳しい財政状況でスタートをしましたが、安定的な行政サービス提供のため、行財政改革を推進し、瞬時の決断を要することには機を逃すことなく、365日、スピード感をもって施政推進に努めてきたところであります。

 日本は4月に平成が終わり、5月に新天皇即位と改元で新たな時代の幕を開けます。

 平成の淡路島を振り返りますと、昭和63年(1988年)津名国際リゾートアイランド事業構想から始まり、志筑地区では民間活力を導入した「淡路島マリーナシティ」、生穂地区では陸・海・空の「交通ターミナル基地」。佐野地区では自然学校を含む「海洋性レクリエーションゾーン」等、バブル時代の計画案がありましたが、現在は、「淡路ワールドパーク ONOKORO」、「津名港ターミナル」などが面影として残っているものの、構想のようにはなりませんでした。

 昭和60年(1985年)大鳴門橋の開通、平成10年(1998年)明石海峡大橋の開通により、淡路島の歴史が大きく動きました。その間には、平成7年(1995年)阪神・淡路大震災が発生し、平成13年(2001年)には県民局が総合事務所となり、平成17年(2005年)淡路市が発足し、淡路島の3市体制が整いました。

 平成のキーワードである「架橋」、「3市時代」、「大震災」にほぼつながってくることになります。「架橋」によって光と影、明と暗ができ、利便性を得た代わりに、雇用の場と生活の拠点を失うことになりました。「3市時代」は、いよいよ淡路島1市の序章でありますが、現状は、前には進んでいません。多くの先輩達の思いを無駄にすることなく、更なる飛翔を目指さなければならないと思っています。阪神・淡路大震災は、今後発生が予想されている南海トラフ巨大地震に対する警鐘でもあったと思っています。6,400人以上の方が一気に亡くなり、大変な災害でありましたが、南海トラフ巨大地震はそれ以上の被害が想定されており、津波も懸念されています。阪神・淡路大震災を教訓にし、「大震災」への手を打っていかなければなりません。

 そうした中、昨年を振り返ってみますと、色々なことがありましたが、公共サービスの現場を担う淡路市は、「チーム淡路市」として、なんとかこれまで結果を出してまいりました。財政再建、地域のバランス整備、企業誘致、少子対策、そして教育の振興、これらはそれぞれが身の丈にあった視線でミッションを積み上げてきた結果でもあります。

 要約をしてみますと、一つ目は財政再建、13年の黒字を継続し、基金も40億円程度から130億円を超えました。起債も1,000億円を超えていたものが700億円を切りました。

 二つ目は、何と言いましても企業誘致であります。市外から21社、事情があって、今現在は17社になっており、兵庫ディオーネを始め、いろんな事情で去って行った企業もありますけれども、既に雇用効果は300人を超えています。1番大きな企業誘致は聖隷淡路病院でありました。そして、新生児は500人に迫ろうかとしています。この誘致がなければ淡路島の産婦人科はどうなっていたのか、本当に市民、住民の皆様のおかげでこの病院を確保することができました。そして、今現地で活躍をしてもらっています。ただ、このことも課題は多く、これからのことは、いろいろ懸念されています。既に、それに対する対応も用意していますが、これらについて確保することが淡路島全体の産婦人科を維持することにつながります。

 最後の三つ目が夢への布石であります。大阪湾活性化構想、これまでにも幾度となく提唱してまいりましたけれども、いよいよ現実味を帯びてきました。何と言いましても2025年の国際博覧会、いわゆる万博でありますし、カジノを含む統合型リゾート、いわゆるIR(Integrated Resort)であります。残念ながら、淡路市は市単独での当事者能力はありませんが、連携をすることによっていくらかでも市民にトータルでの福祉を与えられるのではないかと思っています。淡路市は、隣接の政令市の神戸市と連携を結んでいますし、芦屋、神戸、淡路、洲本と4市でいろんな事業の展開もしています。単独では非常に難しいことであっても、連携をすることによって、可能になってくるものがあるのではないかと思っています。淡路島の北の玄関口、JR舞子駅に新快速を止めること、紀淡連絡道路等四国新幹線構想の復活、関西国際空港、舞洲、泉佐野、そして神戸からと可能性は非常に多様であります。その中でも、海路の復活が大きなキーワードとなります。津名港復活プロジェクト、交流の翼港、岩屋港など、夢は広がっていきます。陸路は、淡路ハイウェイオアシスに直結するスマートインターチェンジの整備であります。そして、自転車道路拡張整備、泉佐野市が提唱しています海路構想と併せて関西の起爆剤になり、淡路島につながっています。我々としては、その一躍を担うべきいろんな施策を打っていかなければなりません。

 淡路市の基本姿勢は、3つあります。

  一つ目は、集約のメリットを生かして質の向上を目指す。

  二つ目は、地域の融合融和を図り一体感の醸成を目指す。

  最後の三つ目は、継続的財政運営と市政全般の適正化を目指す。

 であります。

 この3点に目安がついたときが、淡路市が成熟した市として存立する礎を築くことができたということになります。
 そのために淡路市は、4年刻みのスケジュールを刻んできました。
 4期目に市政15周年を迎え、さらに未来へとつながり飛翔していくことになります。

 これからの淡路市のイメージを再確認しますと、

 この津名地区は、都市機能集積ゾーン、淡路島の核であります。市役所、防災あんしんセンター、大学など。

 一宮地区は、産業振興ゾーンであります。航空機産業、線香、医療薬品などがあります。

 北淡地区は、文化遺産ゾーン、震災記念公園、五斗長垣内そして舟木遺跡、パワースポットなどであります。

 岩屋地区は、淡路島の玄関ゾーンとして、岩屋港、田ノ代海岸、鵜崎の埋立地など大きくこれから整備を推進していきます。

 最後に東浦地区ですが、ニュータウンゾーン、いわゆる淡路市の核であります。サスティナブルシティ、道の駅、交通結節点など。

 イメージをまとめると、津名地区は地理的に島の核であり、東浦地区は淡路市の核で、岩屋地区は島の玄関口、北淡地区は文化遺産の核で、一宮地区は産業振興の核であります。そういったものを5地域でバラバラであるという課題について、視点を変えて資産として生かす、点と点を線で結び面的に捉えることで、これまで推進してきた「田園文化学園都市」を目指すというのが今の淡路市の方向性であります。

 

【経済情勢・財政状況】

 内閣府では「景気は、緩やかに回復している。」とされています。
 一方で、景気の先行きについても、「雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響等に留意する必要がある。」とされており、今後も景気の動向につきましては予断を許さない状況にあります。

 このような経済状況の中、国は少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現のため、「経済財政運営と改革の基本方針2018」いわゆる「骨太の方針」を閣議決定されました。この骨太の方針では、力強い経済成長の実現に向けた重点的な取組として、「人づくり革命の実現と拡大」、「生産性革命の実現と拡大」、「働き方改革の推進」、「新たな外国人材の受入れ」を掲げ、経済の好循環を地域に広げていくため、新しい人の流れを生み出すことで、地方創生の実現に取り組むとされています。

 平成31年度の国の予算の基本的な方針では、本年度の骨太の方針で示された「新経済・財政再生計画」の枠組みの下、引き続き手を緩めることなく本格的な歳出改革に取り組むとともに、施策の優先順位を洗い直し、無駄を徹底して排除しつつ、予算の中身を大胆に重点化することとされており、本市におきましても国の施策の動向をしっかり注視し、的確に対応していく必要があります。また、平成31年10月1日には消費税率の8%から10%への引上げが予定されており、予算に適切に反映させる必要があります。

 また、平成31年度の「地方財政計画」におきましては、地方が人づくり革命の実現や地方創生の推進、防災・減災対策等に取り組みつつ、安定的に財政運営を行うことができるよう、平成31年度の一般財源総額につきまして、前年度を5,913億円上回る62兆7千億円程度を確保することとされています。

 さて、淡路市の財政状況ですが、新市発足時は、阪神・淡路大震災からの復興事業、台風による復旧事業などにより、危機的財政状況でありましたが、これまで旧5町の融和、安全・安心対策等への取組を最優先課題として、市民、住民とともに痛みを分かち合い、行政コストを削減しながらサービスの維持向上を図り、限られた財源で大きな効果を生み出していくため、徹底した行財政改革にも取り組んでまいりました。その結果、決算では13年連続の黒字を確保し、財政の健全化を示す指標である健全化判断比率も平成29年度決算における実質公債費比率15.5%、将来負担比率191.6%と着実に改善を進めました。しかし、兵庫県内及び全国で比較しますと、依然として高い比率となっています。

 具体的に申し上げますと、実質公債費比率は、県内では、41団体中37位、全国では、1,741団体中1,700位、将来負担比率は、県内では、40位、全国では、1,733位となっています。

 個人住民税の徴収率が県内で40番目という状況の中、淡路市の歳入総額の約40%を占める地方交付税では、合併の特例措置として加算されている「合併算定替経費」が、平成31年度は7割縮減されることとなります。前年度と比較して約2億円の減収を見込んでおり、普通交付税の減収は健全化判断比率にも影響が及び、上振れが予測されることから、引き続き地方債の繰上償還や、普通交付税による有利な措置のある地方債の発行を検討し、指標の改善に努めてまいります。

 

【重点項目】

 平成31年度は、市政15年目を迎えることから、新しいステージにふさわしく、持続可能な財政運営につながる「身の丈に合った健全運営」を主として、緊急性・必要性の高い事業を優先的に選択し、「特色ある教育の充実」、「企業誘致の積極的な推進」、「総合的観光施策の充実」、「少子対策」、「市民の安全安心対策」の5本柱を重点項目とし、更なる市民、住民福祉の向上へとつなげてまいります。「第2次淡路市総合計画」を踏まえた施策を展開し、急激な少子高齢化による人口減少等の課題を克服し、更なる地域創生を目指します。また、「淡路市公共施設等総合管理計画」を基に、公共施設等の長寿命化や最適化を推進し、将来世代に安全安心な公共施設を継承します。

 

【特色のある教育】

 まず、一つ目の「特色のある教育の充実」です。

 日本の平均寿命は伸び続け、全人口に占める高齢者の割合が急速に加速しており、淡路市においては、特に顕著であります。一方、児童生徒数は減少を続け、少子化が進行しています。学校教育においては、児童数の急激な減少による複式学級や、一学級当たりの児童生徒数の減少により、群れて遊ぶことで学び取っていた人間関係の持ち方やルールの習得等、社会性や適度の競争力の育成、また、集団の活力を生かした教育活動の推進が必要になっています。

 そのため、子どもたちが将来への夢や希望を持ち、目標に向かって主体的に学習に取り組むための導入となる体験学習や各発達段階に応じたキャリア教育、自尊感情育成につながる心の教育等を推進します。

 環境整備では、多様な教育活動が展開できるよう、学校施設・設備の整備に取り組むとともに、施設の改修・老朽施設の改修を進めます。特に、平成30年度の災害ともいえる記録的猛暑を教訓に、児童生徒に健康被害を及ぼさないよう、熱中症対策として市内小中学校の教室にエアコンを整備します。

 また、いじめや不登校、児童虐待等の早期発見や相談は、課題の把握や解決に向けた支援を行うため、淡路市教育センター、淡路市青少年センター、学校、兵庫県中央こども家庭センター洲本分室、淡路市家庭児童相談室など関係機関との連携を密にし、課題のある児童生徒への訪問指導、教育相談活動、不登校児童生徒及び保護者に対する支援の充実を図ります。

 日経BP社による全国公立学校情報化ランキング2018で、本市は、小学校6位、中学校7位と評価されています。「タブレット活用教育推進事業」、5カ年計画として、タブレット端末、ネットワークの環境整備が整ったことから、次の段階として、淡路市教育振興計画及び新学習指導要領で定められている児童生徒の学びの変革を実現するため、「学びのイノベーション事業」と事業名称を改称し、「21世紀を生き抜く力」を創造する特色ある教育を推進します。

 

【企業誘致】

 次に、二つ目の「企業誘致」です。

 淡路市の地形は、縦断する尾根により、東海岸、西海岸に分断されていますが、明石海峡を通じて、阪神圏へは約1時間以内、関西国際空港まで約1時間30分以内で結ぶ神戸淡路鳴門自動車道の淡路インターチェンジ、東浦インターチェンジ、北淡インターチェンジ、津名一宮インターチェンジへは、市内どこからでも短時間でアクセスできる利便性を兼ね備えております。特に、津名港生穂地区においては、水深7.5メートルの護岸が1バース、水深5.5メートルの護岸が2バース整備されており、陸上輸送、海上輸送とも企業誘致には適した条件整備が整っています。

 昨年、国土交通省が、国営明石海峡公園淡路地区内の約22ヘクタールの広大な海岸ゾーンを、「シースケープ・フィールド」、「シースケープ・ラウンジ」、「アウトドア・ベース」の3区画に分けて開発することが公表されました。この3区画のうち「シースケープ・フィールド」、「アウトドア・ベース」は国が事業計画を立案し、整備され、「シースケープ・ラウンジ」は開発を民間に委ね、2021年度の開業を目指すこととされています。

 また、兵庫県では、淡路市北部の国が整備した北淡路地区のほ場において、「観光型農地再生」をコンセプトに大規模栽培ができる企業誘致の取組が公表されました。この事業では、淡路市も兵庫県と連携して事業を推進します。

 このような状況において、兵庫県は「淡路島国際公園都市構想」の計画の見直しを行うことから、花博跡地の「淡路市夢舞台サスティナブルパーク」の土地利用計画を見直し、企業が進出しやすい環境整備に取り組みます。

 淡路市への企業の進出は、就業の場を増やし、人口の増加へとつながり、地域経済の活性化など多くの期待と可能性を有しています。

 今後も、各企業への訪問に加え、企業立地フェア等への出展において、淡路市の優位性を積極的にピーアールし、誘致活動に取り組んでまいります。

 

【総合的観光施策】

 次に、三つ目は、「観光施策」の推進です。

 平成28年度に淡路島が「国生みの島・淡路」として日本遺産に認定されました。平成29年度に、地域経済を牽引する観光を更に伸ばし、成長する外部経済を地域に取り込み、豊かな暮らしが将来にわたって持続できる元気な地域を実現するため、5年間の計画期間である「淡路島総合観光戦略」が策定されました。この戦略は、三つの推進戦略からなり、一つは「世界から選ばれる魅力づくり」、二つに「国内外から観光客を呼び込むプロモーション」、三つに「受入体制の強化」となっています。これらの推進戦略に淡路島として取り組むため、淡路島観光協会の体制強化を図り、兵庫県と島内3市から職員を派遣するとともに、淡路市の観光施策とも連携しながら誘客強化による交流人口の増加に努めます。

 また、全国19自治体と企業など6団体で構成される「全国ハーブサミット連絡協議会」と連携し、「第26回全国ハーブサミットin淡路島・淡路ハーブフェスティバル2019」を6月1日から2日の2日間、淡路市で開催します。「あわじ・香りと生きる島」を主テーマに、ハーブを中心とした地域資源の活用を行い、淡路の暮らしと結びつけた「香りのまち」としてのピーアールを全国に発信できる機会であり、全国のハーブ関係者が集うことにより、相互の交流を通じて情報交換を行うことで、淡路島でしかできない香りを活かした魅力あるまちづくりを推進します。

 さらに、兵庫県から移譲を受けた「淡路香りの公園」は、広く県民、市民の文化(Cuture)、スポーツ(Sports)、レクリエーション(Recreation)活動の場と機会を提供し、三つの頭文字であるCSR活動を推進することにより、こころ豊かな生活づくり、生きがいづくりを進め、人間性に満ちあふれた文化社会を築くことを目的とし、自然との親しみと、健康の維持増進、家族のふれあいを基調とした自然とふれあう施設として整備されたものです。この施設は、「香り」をテーマとしたユニークな公園であり、平成元年の開園から30周年を迎え、11月に記念事業を実施します。ハーブガーデンには、ミントやローズマリー、ラベンダーなど約60種類のハーブと約50種類の芳香樹木があり、多彩な香りを楽しめるイベントの実施を推進します。

 これらのイベントに訪れる観光客を含め、国内外から訪れる観光客を呼び込めるよう、スマートインターチェンジの整備等、環境づくりに努めるとともに、インスタグラム・フェイスブックなどSNSを活用し、魅力ある情報発信に取り組んでまいります。

 

【少子対策】

 次に、四つ目は、「少子対策」の推進です。

 子どもや子育て家庭を取り巻く状況は、急速な少子高齢化の進行に伴って労働力人口の減少や社会保障負担の増加、核家族化の進行による地域社会の活力の低下や就労環境の変化など社会経済情勢を背景に大きく変化し、子育てに不安や孤立感を感じる家庭も少なくありません。次世代の子どもを育成するためにも、子育てを社会全体で支援していくことが一層重要となっていますが、公共が担う役割もさらに大きくなっています。

 淡路市では、平成17年度から平成26年度までの10年間において「淡路市次世代育成支援行動計画」を策定し、平成24年10月には「淡路市子ども・子育て会議」を設置し、平成27年度から平成31年度までの5年間において「淡路市子ども・子育て支援事業計画(第1期)」を策定し、総合的に子育て支援に取り組んで参りました。平成30年度に実施したニーズ調査を基に「淡路子ども・子育て支援事業計画(第2期)」の策定に取り組み、よりきめ細かな子育て支援の充実を目指します。

 さらに、子育て支援策は、国や県の制度に基づくものも多いことから、国・県との連携を密にし、総合的な施策を一層推進します。

 少子化が進む中で、今後の地域の人口動態を見極めながら、適正な環境を整備するため、施設の計画的な改修や統合、整備を推進します。

 

【安全安心】

 次に、五つ目は、「安全安心対策」です。

 市民が安心して日常生活を送り、災害が発生しても市民の生命及び財産を守り、早期にまちの機能が復旧する、安全で安心な「災害に強いまちづくり」を推進するため、市民、住民、事業所、関係機関、市等が協力・連携しながら一体となった防災体制の充実や減災対策に努めます。

 しかしながら、大規模災害発生時には、公助に限界があることから、平常時における防災意識の啓発や、発災後における避難誘導等の迅速かつ的確な応急活動等を行う上で、自助・共助の機能拡充及び強化を図ることが重要となっており、地域防災の担い手となる防災士や防災リーダーの人材確保が必要となっています。そのため、市内におきまして防災士の資格取得ができる養成研修を実施し、防災力向上の核となる人材の一層の拡充を図ります。

 また、淡路市における犯罪被害者等について、平穏な生活が過ごせるように関係機関等と連携し、被害の回復及び軽減に向けた施策を総合的に推進するとともに、一時的な生活資金の支給と日常生活を営むことについて支障がある場合は、家事援助者の派遣及び一時保育に要する費用について助成を行います。

 また、淡路市の空家等の割合は、全国及び県の平均を大きく上回っております。早急な対策が求められています。今後、人口減少や高齢化の更なる進展に伴い、一層の増加が予想されるため、国、県、関係団体、地域等との連携と、「淡路市空家等対策計画」に基づき空家等の状態に応じた対策を推進します。

 

 それでは、平成31年度の主要施策について、第2次淡路市総合計画・前期基本計画に沿って述べます。

 

【第2次淡路市総合計画・前期基本計画】

【1共に築く次世代につなぐまち(共生・協働・行政経営)】

 まず、「共に築く次世代につなぐまち」に向けた主要施策です。

 市民生活に関する様々な問題について、解決に向けた糸口を見いだしていただくために各種相談業務を実施するとともに、消費生活に関する相談や苦情について、解決のためのお手伝いや安全・安心な生活を確保するため、継続して消費者保護の充実に取り組みます。

 住民参画では、人口減少、少子高齢など持続可能な地域運営に関する様々な課題に対して、市の果たす市民サービスと地域住民らが自ら担う役割を理解し、地域住民が主体的に関わるまちづくりを推進します。また、中間支援の機能を持つ市民協働センターでは、地域課題の解決に向けた活動をしている市民、住民や団体が、充実した事業の実現に向け、自主的な取組ができるように専門窓口へつなぐ等の支援を行います。

 地域間交流の促進では、淡路市、洲本市が連携・協力して圏域を形成し、住民生活に必要な都市機能・生活機能を圏域全体で確保し、圏域の一体的発展と定住人口の促進を図る取組として、淡路島定住自立圏形成協定が締結され、地域住民のいのちと暮らしを守るため、圏域全体で必要な生活機能を確保し、地方圏への人口定住を促進してまいりました。昨年、南あわじ市が同圏域の取組に参画したことから、これまでの取組に加え、住民福祉の向上や地域振興などの圏域機能の充実を目指します。

 国際交流では、市民の国際理解を高めるための人材の育成の機会を充実するため、市民が参画する姉妹都市交流などの事業を支援します。平成31年度は、中国浙江省(せっこうしょう)義烏(いう)市との友好都市提携5周年となることから、同市で開催される式典等に使節団を派遣し、淡路市への視察を受け入れます。

 広報機能の充実では、昨年、広報淡路9月号が、「第31回近畿市町村広報紙コンクール」で奨励賞を受賞しました。リニューアルされた広報紙が市内外に向け、市の特色ある制度の特集や市民に密着した情報の発信、より読みやすくなったレイアウトなどが評価されました。今後もより一層、広報紙の充実を図り、市政に関する情報の公開と共有を目指してまいります。

 行政改革では、これまでの行いを見つめ、改める取組のため、当然、痛みも伴います。ともに痛みを分かち合いながら、強く安定した行財政基盤によって、市民が安全安心に生活でき、夢を持てる淡路市づくりを実現していかなければなりません。特に、公共施設においては、過去に建設された施設等を総合的かつ計画的に管理することにより、財政負担を軽減・平準化するとともに、その最適配置を実現することで財政規模や時代に即したまちづくりを行うことが重要です。そのため、既に策定した公共施設等総合管理計画を踏まえ、個別の公共施設等の今後の在り方を十分に検討した上で個別施設ごとの長寿命化計画策定に着手します。

 

【2安全・安心で快適に暮らせるまち(定住環境)】

 次に、「安全・安心で快適に暮らせるまち」に向けた主要施策です。

 昨年は、大阪府北部を震源とする地震、北海道胆振(いぶり)東部地震、平成30年7月豪雨、台風第20号など自然災害が多発し、改めて災害への備えや防災意識の高揚が必要であると再認識させられた年でありました。阪神・淡路大震災、東日本大震災等の教訓を踏まえ、今後発生が予測されている南海トラフ巨大地震をはじめとする大規模な自然災害などに対応できるよう、市民が安心して暮らせる災害に強いまちづくりを推進し、地域・関係機関・淡路市が一体となった防災体制の充実に努めます。また、昨年度事業に着手した災害の発生前や発生時の情報伝達手段として有効なデジタル防災行政無線設備について、整備を推進します。

 定住促進では、神戸から20分、大阪から60分、世界最長の吊り橋・明石海峡大橋を渡ると、そこは海と山に囲まれた淡路市・淡路島です。本市は、このように、抜群のアクセス環境と恵まれた自然を兼ね備えた暮らしの適地であります。平成30年度には、実際の田舎暮らしを体験してもらうため、市営住宅の仁井サンハイツを短期移住体験施設として整備しました。さらに、市営住宅のアメリカ村を短期移住体験施設として整備し、移住希望者の地域交流や阪神地区への通勤体験を通して移住定住を促進します。

 火葬場では、集約による効率化を図るとともに、交通アクセス等市民の利便性を考慮した新火葬場の整備に向け、用地の調査、造成設計、用地取得等、事業を推進します。

 公共交通では、交通事業者と協力し、既存のバス路線、明石海峡航路の維持確保や、市民や観光客の交通手段の利便性向上や、定住化促進の観点から、高速バスの回数券の代替策としてIC化に取り組んでまいりました。しかし、路線バスについては、交通事業者が撤退することから、代替措置として地域の実情に応じた運行形態による南部生活観光バスを10月から運行します。市民、住民、観光者の意見を聞きながら、持続性のある交通体系の維持に努めてまいります。

 都市計画区域の整備では、快適な生活環境を確保し、都市機能を計画的に整備するため、都市計画区域を指定していますが、区域外である一宮地区等について、市域全体の開発と保全の調和を図るため、区域指定に向けた調査・研究に取り掛かります。

 

【3支え合い健やかに暮らせるまち(保健・医療・福祉)】

 次に、「支え合い健やかに暮らせるまち」に向けた主要施策です。

 少子高齢化がますます進行する中で、いつまでも生き生きと元気に過ごせることが求められており、保健・医療体制の充実を図ります。また、誰もが充実した人生を送れるよう、生活の質の向上を目指し、身近な地域で暮らせるまちづくりを推進します。

 健康づくりでは、津名集合庁舎(仮称)の新築により、津名保健センターでの業務が移転するため、母子保健事業に係る設備の充実を図ります。また、乳幼児健診の受診等を電子化した情報について、転居先の市町村でも引き継がれる仕組みや、マイナポータルを利用し乳幼児期における健診、予防接種等の個人履歴を一元管理できるシステムを構築します。また、市内の保育所・認定こども園の年長園児に対し、フッ化ナトリウムによる洗口事業の取組を開始します。

 高齢者福祉では、高い高齢化率に伴い、今後ますます高齢者のみで構成される世帯の増加が見込まれる中、健康寿命の延伸による活力ある社会の実現に向け、介護予防の取組「いきいき100歳体操」、「かみかみ100歳体操」、「高齢者健康料理教室」などの充実を図ります。特に、第7期介護保険事業計画では、高齢者の自立支援や介護予防・重度化防止を進めるなど、地域包括ケアシステムの深化・推進を図っているところですが、高齢者の生活状況や健康状態、現在の状況等を把握するためアンケートを実施し、第8期介護保険事業計画の策定に取り掛かります。

 障がい者福祉では、誰もが互いに人格と個性を尊重し、支え合って共生する社会を目指し、障がいのある人が自ら望む地域生活が営めるよう、障がい者福祉サービスや相談支援体制などに対する支援の充実を図ります。特に、個別の障がいに応じた就労に取り組めるよう、障がい者就労施設の充実に取り組んでおり、それらの施設のうち「さくらんぼの里」で行っているクリーニング業務について、設備の経年劣化が見られることから、更新を行い、就労に対する支援の充実を図ります。

 

【4ふるさと淡路を学び創り育てるまち(教育)】

 次に、「ふるさと淡路を学び創り育てるまち」に向けた主要施策です。

 子どもたちが心豊かで確かな学力と力を身に付けるため、学校・家庭・地域との連携・協力により子どもの成長と発達を支援し、豊かな人間性と社会性を育む教育を推進します。また、多様化・高度化する学習ニーズに対応した学習活動・公民館講座等を推進し、生涯学習・地域活動の拠点として公民館機能の充実を図ります。

 学校教育では、児童生徒の豊かな情操や規範意識、他者への思いやり等を育成する心の基盤づくりとして、道徳科が学校の教育活動全体を通じて行う道徳の要として役割を果たすことができるように、多様で効果的な指導方法を積極的に導入し、道徳教育の実践研究に取り組みます。

 社会教育では、生涯の学びを通した新たな地域拠点としての公民館について、地域の様々な人材、団体をコーディネートできる公民館長を5地区に配置し、地域の課題解決に向けた取組と住民が主体となった活動を支援します。また、老朽化している津名図書館につきまして、現在の場所からしづかホール横に移転し、魅力ある施設の整備を推進します。

 スポーツ振興です。いよいよ「ラグビーワールドカップ2019日本大会」が9月から開催されますが、公認キャンプ地としてサモア及びロシアの選手を受け入れるため環境整備に取り掛かります。また、交流計画に基づいた歓迎、ふれあいイベントなどを実施し、大規模なスポーツ大会をきっかけに、市民の多くが世界トップレベルの競技への取組・姿勢を身近に感じ、スポーツ意欲の向上を推進します。

 青少年育成では、青少年センターと学校との連携を深めながら、児童生徒や保護者のニーズに対応するため、教育相談体制の充実を図るとともに、いじめや不登校などの未然防止や解決に向けた相談・支援体制の充実を図ります。

 人権教育では、人権侵害を未然に防ぐことのほか、差別的言動に苦しんでいる人や問題を抱え悩んでいる人への対応も重要で、人権問題に対する相談や支援の充実を図ります。また、人権の大切さが市民に正しく理解されるよう、教育・啓発活動の積極的かつ効果的な推進に努めます。

 

【5地域資源と地域活力があふれるまち(産業)】

 最後に、「地域資源と活力があふれるまち」に向けた主要施策です。

 将来に希望の持てる魅力ある農畜水産業へと発展させていくため、国及び県事業を活用し、付加価値の向上や生産性の拡大、農地の維持や担い手育成につながる取組を推進します。また、市内の中小企業事業者の資質向上や新規の起業に対して支援し、事業基盤の拡大と雇用の創出を図ります。

また、周年事業や全国事業などのイベントの実施等により、「世界的観光立島・淡路市」として交流人口の増加につながる誘客策に取り組みます。

 環境先進地への取組として、平成27年から10年間を計画期間としている「淡路市環境基本計画」は、直面する様々な環境問題の解決のため、市民、住民、事業者、旅行等により市内に滞在する者、行政の各主体が、それぞれの責務に応じた役割分担の下、相互に連携して環境保全に取り組むべき推進体制と進行管理を計画として策定したものです。本年度で5年を迎えることから、社会経済情勢や環境問題の変化に適切に対応するため、見直しを行います。

 農業では、農業経営の安定化に向けた経営所得安定対策事業や中山間地域等直接支払事業による農地の適正な維持管理を推進するとともに、イノシシによる被害防止対策は、国及び県事業を活用した防護・捕獲対策と組織体制を強化することで、農作物等への被害の軽減に努めます。また、農業の担い手と農業生産法人の育成を目的としたほ場整備は、引き続き推進します。

 畜産業では、優良和牛の繁殖を促進するため、増頭及び保留事業を継続して行い、淡路ビーフのブランド化を支援します。

 水産業では、東淡地域の漁業振興と、淡路島岩屋漁業協同組合、森漁業協同組合、仮屋漁業協同組合の合併等に向けた協議を進めるため、新たに設立される一般社団法人東淡漁業連絡協議会に運営資金を出捐(しゅつえん)します。

 商工業では、後継者不足や少子高齢化、時代のニーズを捉えた新商品開発等によるブランドづくり、中小事業者の経営基盤の強化等、淡路市の商業施策の課題に対応するため、経営アドバイザーを配置します。

 歴史文化では、淡路市内の多くの歴史文化遺産が、少子高齢化や都市部への人口流出、生活様式の変化等の社会的背景の中で保全・継承の危機にあるため、地域の活性化や観光資源としての活用や保存を図るための計画を策定します。

 観光施策では、淡路島への観光客の誘致及び淡路市の魅力を発信するため、世界的観光立島事業として「淡路島の魅力を届けるプロジェクト事業」、「観光PR戦略事業」、「首都圏販路拡大事業」などを継続して実施します。また、がいなカードのステーション端末機を市内の観光施設等、集客施設に設置し、訪れる観光客に観光施設やイベントの情報を提供して、利便性の向上と商工業の活性化を図ります。また、平成30年7月豪雨で落石のありました大和島について、防護壁による安全対策を講じ、岩屋海水浴場周辺に駐車場を整備し、訪れる人の安全と利便性の向上を図ります。

 

 以上、主要な施策について、申し述べてまいりましたが、第2次淡路市総合計画・前期基本計画やその他各種計画に基づき、「チーム淡路市」一丸となり、淡路市が目指す将来像へ着実にまちづくりを進めてまいりたいと考えています。

 

【むすび】

 最後に、いよいよ15年目に入って行くわけでありますが、この14年間、市民、住民、企業、各種団体、市議会、そして職員など「チーム淡路市」として一緒にやってまいりました。5町そのままであれば、300人以上の若い人たちの雇用の場も確保でき、そして、いろんな意味で生活の場があったと思います。財政状況や合併団体ということで、国の方針によって困ることがあるのであれば、現場の我々はどうやって行けば良いかということを具体化していくことが大事だと思いますし、15年目の新しいステージに向けて、再度覚悟を決め、もう一度襟を正す必要があると思っています。これまで皆様と一緒になって小さな歴史を創ってきました。これからも「チーム淡路市」として、半歩でも、一歩でも前へ出ることで、明るい未来の実現のため、まちづくりに取り組んでまいりたいと思っています。

 終わりに当たり、議員の皆様におかれましては、今後も公平公明公正な行政運営ができますよう、なお一層の御指導と御支援を改めてお願い申し上げ、また、市民、住民の皆様の御理解と、御協力を重ねてお願い申し上げまして、平成31年度の施政方針とさせていただきます。